ロコモデル伝説
LOCO MODEL Forever....
◆99年夏、ある模型店がその灯を落とした。
頑なまでにペーパーモデルを作り続けたその模型店の製品は今の水準から見るとかなりシンプルなものではあったがペーパーの利点を最大限に生かした驚異的な多品種展開と安価なキット、オーダーメイドの特製完成品など他には無い魅力で一時期のモデラーを虜にしたものだった。
それはまさに強烈な個性と情熱の炎を燃やした先代社長・遠藤春一氏のアピールでもあった。私たちはロコモデルを忘れない。
RM MODELS 99/12月号より
【ロコモデルについて】
パソコンも携帯電話もなくすべてがアナログだった時代、東京浅草にペーパー製HO鉄道模型専門店を遠藤春一氏が創業しました。
取扱い車種は旧型国電や旧型客車をはじめ私鉄各社におよび、他の模型店が手掛けないようなマイナーな形式まで製作し、注文製作にも応じていて自分だけの車両をオーダーすることも出来たのが最大のウリでした。
氏の製作する車両の数々は実車のフォルムを壊さず適度にデフォルメされたデザインと、遠藤氏による独特の手書きのレタリングはマニアの間で絶大な人気を誇りました。
氏曰く「鉄道模型はちゃんと走ることとシルエットだよ」。
そして同時期に発売された車体キットは手ごろな値段で鉄道模型製作の登竜門的存在でした。
当時の電鉄系百貨店の鉄道模型売場のショーウインドウには必ずロコモデル製車両が並べられていて子供の憧れの的となっていました。
その後事業拡張に伴い日暮里駅前に移転し、「国鉄館」「私鉄館」と店鋪を分け、最盛期を迎えましました。同時期には業界に先駆けて多数のオリジナル鉄道ビデオをリリースもしました。
その後に神田に店鋪を集約移転したが趣味の多様化と世情の変化により、1999年に惜しまれつつ閉店となりました。
余談ですが、氏自らの架空の鉄道会社名を「吟雪(ぎんせつ)鉄道」と称して、当時の浅草店には吟雪鉄道の車両群が多数展示されていたのを懐かしく思い出されます。
そんな氏の作り上げた個性的ですばらしいロコモデルの世界観を少しでも後世に伝えられれば幸いです。