Oゲージ物語01
Oゲージ物語~そのはじまり
小学3年生の誕生日、寄り道しながら学校から家に帰ると、いつもは仕事に出かけているはずの父と母の履物が玄関にあった。何事かと思いつつ薄暗い居間の襖を開けると、6畳間に敷かれたエンドレスレールと貨車を従えた疾走する電気機関車、そして父母の笑顔があった。
うれしくてうれしくて、学校からは毎日飛んで帰ってきた。宿題もそこそこに頬に畳の目の痕をつけながら飽きもせずにヘッドランプを点して通り過ぎる列車を眺めていた。
初めて買ってもらった鉄道模型は当時一番ポピュラーだったOゲージと呼ばれる交流3腺式で縮尺1/45のものであった。フリーランスで丈夫なデザインと手ごろな価格で鉄道模型の入門用として各社から発売されており、絶大な人気があった。1/80サイズのHOゲージも存在したが高価で子供の自分には手の届かない存在であった。
その後中学入学祝いにと憧れだったHOゲージの入門セットを父に買ってもらって以来徐々にOゲージとは疎遠になっていった。世の流れもHOからNゲージに移り、Oゲージは市場からも姿を消し記憶のかなたへの遠ざかっていった。